試料中の水銀(一般には化合物)を気化させることなく酸分解法等による前処理を実施し、金属水銀とすると蒸気圧が高く室温でも容易に気化して原子状水銀になります。この水銀蒸気の253.7nmの紫外線の共鳴吸収を利用する定量法は、冷原子吸光法といい極めて高感度です。
弊社では、主に水質試料用の還元気化法となる水銀計により、河川水、工場排水、土壌溶出液などの液体試料について水銀測定を行います。液体試料について湿式前処理を行い、すべての水銀を2価の水銀イオン(Hg2+)にします。この湿式前処理後の試料に塩化スズ(Ⅱ)溶液を加えると、2価の水銀イオン(Hg2+)は0価の金属水銀に還元され、バブリングすることにより水銀ガスとなります。バブリングによって発生する酸ミストや水蒸気を電子冷却ユニットなどで除去した後、水銀ガスを吸収セルへ導入し、測定します。